「協力?」
「そ、協力。いや、共闘?それとも空はまだ弱いから・・・庇護?そう、庇護してあげる。」
はい?庇護?えーと、とりあえず前回までを思い出そう。作者がサボったから先週先々週は抜けてて・・・
いや、ごめんなさい。
そうそう、脳がどうこうで、僕が空で、その他諸々・・・ うん、思い出した。
「で、なんだっけ?」
「思い出してないじゃないの・・・」
モノローグへの突っ込みは禁止です。
「えっと、とりあえず最初から。庇護って何の話かな?」
海は、大げさに大きなため息をついて、
「まず核心から話すけど・・・このゲーム、いえ、このゲームの完成体は、『殺戮ゲーム』なのよ。それも本質の意味での。単刀直入単純明快に言えば、ここで殺された人間はリアルでも死に至る。」
へ?え?え゛!?
脳がどうこうって部分で多少のぶっ飛び展開は予測してたけど、これはひどい。
ボディを打って相手の動きを止めた後、顔面にストレートをぶち込み、そのまま親指を目の中につっこんで殴りぬけるなんて目じゃない比じゃないレベルじゃない。
驚愕に目を見開く僕を尻目に、海は淡々と、訥々と説明を続ける。
「で、それを事前に察知し、止めようと立ち上がったのが私たち。世間一般ではハッカー、クラッカーと呼ばれてる種類の人間達ね。このゲームの登録キャラ中3割が私たちの仲間の日本人で構成されているわ。所謂・・・梃入れって奴かしら。ある筋からメールを手に入れて複製して、信用できるクラッカー仲間に協力を頼んだのよ。」
ここまでで、何とか内容が掴めてきた。どうやら僕はとんでもないものに巻き込まれていたらしい。クラッカーの戦争、まさしく文字通り、人類の存亡をかけた勝負なんて。
ところで、
「せんせー、ひつもんです。」
「質問ね、しー、つー、もー、ん。はいどうぞ。」
「ネタをネタと以下略。何故、それに僕を誘う?僕には少なくともクラッカー並みの能力なんて持ち合わせてない。」
「だ・か・ら。庇護って言ったじゃない。庇護、意味分かる?庇って護る。最初は私たちの仲間として戦ってもらおうかと思ったけど、あなた弱いみたいじゃない。でも、死ぬのは嫌でしょう?置いていくなんて義理に厚いを自称する陸が許さないでしょうしね。わが身大事なら一緒に行動しましょうって誘ってるのよ。」
なるほど。それは名案だ。何も問題は無いこれといって問題は無い恐ろしいほど異論も異議も文句も何も無い。
ある一点を除けば・・・ね。
それは古来より古今東西どこでも誰でも使い使われて来た言葉。ご都合主義的な展開もこの一言で万事解決することが出来る、魔法の言葉。
そう、「偶然」である。
偶然、なんと都合のいい言葉だろう。世界の9割は偶然で出来ていると言っても過言では無い。
二人は偶然僕とここで出会い、偶然こういった話を思いつき、偶然僕がそういった行動を取っていた。
言ってしまえば胡散臭いこと極まりないことだ。しかし、まぁ・・・
「二人の言うことを完全に信用したわけじゃない、と防衛線を張ってから答えるよ。答えはOK。二つ返事というかぐしだね。何せ普通と違うことは分かるし、何よりレベルを上げたい。そういった意味では二人と行動するのは僕にとってプラスになると踏んだからね。」
「ふぅん、中々用心深いのね・・・臆病なんだ。うん、気に入ったわ。おーい、陸!あんたもこっちいらっしゃーい!」
名を呼ばれた陸は、まるで飼い主に呼ばれた犬のような勢いでこちらに走ってきた。
僕の脳内で陸という人物は弄られキャラで確定された。不憫なかぐしだ。
海が僕との会話の一部始終を陸に話し、伝わったところで陸が狂喜乱舞したのはまた別の話。
これほど感情の起伏が激しい奴がクラッカーねぇ・・・ 海の口ぶりでは腕の立つ奴のようだけど、胡散臭いな。
まぁ、これからは行動を共にする仲、仲良くするようひとまずは心がけよう。
そう、思った。
「よぉっし空!打ち上げしようぜ打ち上げ!」
「何のよ。」
「何のだよ。」
難しいなぁ・・・
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