ようこそ我が家へ
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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「あー、遅かったな。」 海と二人で、つい十分ほど前まで店だった場所に戻ると、陸が一人でハンマーをぶんぶん振り回していた。 PR 最初に動いたのは陸だった。 砂煙の上がった戸口に向かっていくつか、古い中国の映画に出てくる呪符のような長方形の紙を投げつける。
僕は海、陸と共に最寄の街のとあるレストラン調の店に来ていた。店員は居ない。アイテムを買う店とは違う、ある種のおまけ、もしくは地形効果的な要素で組み込まれた店だろう。
「協力?」
僕は助けてくれた二人と話し込んでいた。何でも、この二人もあいつとは因縁があるらしい。 話によると二人は、女の方が海、男の方が陸というのだそうだ。 海は腰までの長い黒髪で、足まで隠れるような大きな黒いボロボロな外套に身を包んでいる。そのせいでよく分からないが、中身は細身で華奢な体のようだ(推理) 陸は上半身が裸で、ガッチリとした褐色の肌を晒している。下は濃い茶色のジーパンだ。 話の内容から察するに、海はしっかり者、陸は陽気なキャラのようだ。 「───で、お前の名前は?」 ふいに陸に問われた。そういえばまだ名乗ってなかったな。 「僕は他人に名を名乗らないことにしてるんだよ。」 「それなんていーちゃん?」 「ごめん作者の趣味。」 間髪いれずに突っ込みが来た。著作権とか大丈夫なのかこれ? 「ま、冗談は置いといて。僕の名前は空。君達と3人そろったら陸海空なんてね。」 僕の名前を聞いた途端、二人は目を丸くした。陸に至っては口までガコーンと空けている。 まるで、信じられないモノを見たとでも言うような目。しかし、僕にはその意味が分からなかった。 僕が何をしていいのか分からずに立ち尽くして居ると、二人は近くの岩陰に隠れて何かを話し合い始めた。 やがて、陸だけが岩陰から出てきた。そして、グッ!と親指を突き立てて一言 「Hey boi!俺達と一緒に行動しないKAI?」 「だが断る。」 とりあえず断ってみた。 「この空が最も好きな事のひとつは、綴りを間違えた馬鹿にNOと言ってやる事だ・・・」 とりあえず付け加えてみた。著作権?露伴?何のことです? 陸は、目に見えて落ち込んだ様子で岩陰に戻っていった。 それに立ち代り、海があきれた様子で頭を掻きながら僕の方へ歩いて来る。 陸を見ると、さっきの岩陰あたりにしゃがみ込んで地面に「の」の字を書いてる。 とりあえずそっちは放置して、海に視線を戻す。どうやら真面目な話のようだ。 「空って名前。その名前はどうやって決めたか思い出せる?」 どんな話をするかと思っていた所に、そんなことを聞かれて当惑する。 名前、名前・・・ あれ? 「思い出せないでしょ?殆ど無意識のうちに名前を『空』にしていた。違う?」 違・・・わない、のか?確かに意識して決めた覚えは無い。そもそも、今まで他のネトゲでも空なんて名前は使った試しが無い。 なら、これは一体・・・ 「軽く脳を侵されて設定させられてたのよ。」 「脳を、侵す?」 考えが行き着く前に海が解答を寄越した。 そういえば聞いたことがある。一時期、この装着型ディスプレイによる視界への影響の直接性を利用したウィルスが出回ったことがあると。 感染したPCのディスプレイは強烈な光を発し、感染PCのユーザーの目と脳に多大な負荷を与えるというものだ。 中にはそれにより目を開けたまま失神し、廃人になりかけた人まで居たらしい。 かの有名な五円玉催眠術も、一定のリズムで脳に負担をかけて意識を手放させる類のものなのだから、そのウィルスを応用すればそういったことも可能なのかもしれない。 突然全てが怖くなる。脳を侵された?自由意志を奪われた?相手の思うがままに? もしかしたら、ゲームを始めたのも、あの状態でログアウトせずに倒されようとしたのも、そして今現在ここにいるのも、すべて操作された結果なのかもしれない。 今現在この思考。これは自分の本質の意思か?あやつられた仮初の意思か?分からない、わからない、ワカラナイ・・・ 不安になる。全てが全て、信じられない。己の内も外も全てが疑わしい。 怖い、怖い。自分も他人も信じられない。怖い、怖い、怖い怖い、怖い怖い怖い怖い怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い・・・ 「おーい、大丈夫?」 僕の暴走した思考は海によって止められた。どうやら彼女も突然豹変した僕の様子に困惑してるようだった。 「なんか、顔青いよ?」 「あ、ああ、うん。大丈夫。ちょっとね・・・・・・」 「そう?じゃあ話を核心に持っていくわね。」 僕は、次に海が言ったことを理解出来なかった。
「───あなたに、協力してもらうわ。」 |
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